金勝寺(きんしょうじ)は、奈良県平群町椣原にある真言宗室生寺派の寺院。山号は、椣原(しではら若しくは、ひではら)山。本尊は藤原時代の作である薬師如来座像。
寺伝によれば、当寺は天平18年(746年)行基菩薩の創建とされる。寺領700石を賜り、金堂、大講堂、阿弥陀堂、護摩堂、三重塔、食堂その他塔頭坊舎36ヶ坊の伽藍を建立されたと伝えられる。
旧金堂の鰐口には「大永二年壬午正月十六日(1522年2月22日)」の銘があり、複数回の火災で焼失して再建した中の一つとみられる。天正年間に松永久秀の焼打によって建造物はことごとく焼失し、寺領も没収された。
金堂は寛文5年(1665年)の再建で、本尊の薬師如来座像、脇侍の日光・月光両菩薩や十二神将像を祀っている他、薬師三尊像を安置している。本尊とともに薬師三尊像も、町指定の文化財である。現在の護摩堂、宝庫、庫裏、内門などは1902年(明治35年)の再建。護摩堂内には、大日如来座像、阿弥陀如来立像、十一面観音など古式の霊像が安置されている。この他、岸壁には,康正2年(1456年)や天正16年(1588年)の銘が入った磨崖仏14体(町指定文化財)がある。
金堂の、向かって右側丘陵上には鎮守社である原神社がある。
寺の対岸の丘陵の金勝寺墓地には、鎌倉期の石造十三重塔(町指定文化財)、十三仏石、地蔵石仏がある。
(2024.5.10参詣)
|